アザミウマって何? アザミウマは体長が1~5mm程度の小さな昆虫で、主に花の中、草や木の葉の間、樹皮下や枯葉の中、土壌中などで生活しています。この様な場所で生活しているため、人の目にはほとんど触れません。 翅は前後翅ともに細長く、翅脈が退化して膜状になり、翅の周縁には多数の長い縁毛が生えているので翅が総状に見えます。この翅の様子がアザミウマの分類学的な名称「総翅類」の由来になっています。 アザミウマのそれぞれの肢の先端には、普通の昆虫の肢の先端にあるような鈎状の爪はなく、かわりに出し入れ自在の粘着性の胞嚢があります。このため、アザミウマはプラスチックやガラスのような表面がつるつるの面でも歩くことができます。 アザミウマの口は吸収型で、この口を植物体に突き刺して植物汁や破壊した植物組織などを吸い取って食べています。また、時には花粉を食べたりもします。アザミウマの中には、菌類の胞子や菌糸だけを食べる仲間も多く見られます。 アザミウマは生活史の上で蛹の時期をもたない不完全変態昆虫です。しかし、成虫になる前に摂食もしなければ、刺激を与えなければ動きもしない蛹のような時期があります。この様なことから、アザミウマを蛹の時期がある完全変態昆虫と、もたない不完全変態昆虫との中間に位置する昆虫と考える研究者もいます。 「アザミウマの蛹期」について、もっと詳しいことを知りたい方は、インセクタリゥム2000年5月号の「アザミウマ類 「蛹」の時期をもつ不完全変態昆虫」をお読み下さい。 | |
なぜ「アザミウマ」って言うの? アザミウマという和名の由来については、昔、子供たちがアザミの花を手のひらの上でたたき、「ウマデー、ウシデー、馬出よ!、牛出よ!」と歌いながら中から出てくる黒や黄色の虫の数を競ったという遊びからついたのだと言われています。実際、このアザミの花から出てくる黒や黄色の虫はアザミウマです。また、アザミウマの頭部を腹側から見ると細長く、何となく馬面に見えます。あるいは昆虫のことを方言として「ウマ」とか「ウシ」と呼ぶことは、日本各地から知られています。この様なことから「アザミのウマ」、つまり「アザミウマ」という名前になったのでしょう。 | |
アザミウマは何の仲間なの? アザミウマの口の形態がセミやカメムシに似ていることは上で説明しましたが、それ以外にもセミやカメムシと似た特徴があります。この様なことから、アザミウマはセミやカメムシの仲間(半翅類)に近縁であると考えられています。 | |
アザミウマと人との関わり 多くのアザミウマは基本的には人間生活との関わりを持ちません。しかし近年になって、一部の吸汁性のアザミウマが野菜や花卉などの農業害虫として注目されるようになりました。ミナミキイロアザミウマやミカンキイロアザミウマといった種類は、もともと日本には分布していなかった南方系、北方系のアザミウマですが、現在は温室栽培の野菜や花卉の大害虫として、多くの被害が日本各地から報告されています。 |
2011年10月5日水曜日
厄介な害虫アザミウマ(通称スリップス)
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